キャタツの話。



2005 四月某日。

やっちまった

やっちまったかと思った。
ひなたは暑いのね、、

時々は近所の友達が遊びに来る。

普段はうるせぇ犬だ、、とも思っているけど。
友達なら仕方ねぇか、、

2005 4月某日。

さらば。

展覧会もあと少しに迫ったそんなある日。
あわせて発売する本の為に執筆していたある日。

雪も溶けて、暖かい雨がじゃんじゃん降ってたそんな日。
いつもの朝ごはん後は近所の友達のところへ遊びに行かせる。
トイレついでに。

結構な雨だったから、とっととつれて帰ってきて部屋に軟禁だな、、、
そんな風に思っていた。

帰ってこない。

以前に飼っていた犬の事が頭をよぎる。
展覧会も近く、忙しくはあったのだけれども、、、、
悠長に仕事ができる気分じゃない。

とりあえず、近所を捜す。
少し遠くまで、車で走り回る。
いない。

役場に獣医に保健所。
以前に辿ったルートをこんどは、こっちが捜しに行く。

期待はしていなかったけど、情報無し。

前とは違う、死んだわけじゃない、、
そんな風に思うことにした。

展覧会ももうすぐだったし。

現場の下見やら準備に打ち合わせ。
家を空ける時には、いつもの場所に大目にエサを置いた。
家中のドアは全開。

帰るたびに、エサが減っていることを期待していたんだけど、一向に減らない。

一度だけ、コンビニに張ってもらった捜索願のチラシを見てくれた人から連絡があった。
近くで、そんな感じの黒い犬がスタスタ歩いてたって。

展覧会の準備そっちのけで、現場に行ってみた。
なぜだか分からないけれど、絶対に居る気がした。

そこには、たしかに黒い犬は居たのだけれども違う人。

多分、雪が溶けたから自分の家までの道を思い出したんだろうな、、
いなくなるにしても、随分急だもの。

そんな風に納得してみた。

チラシを見て連絡をしてくれる人も居る。
縁があれば、そのうちまた合えるだろう。

2005 10月某日。
権利。

展覧会も随分前に終った。
結局、キャタツは帰ってこなかった。

出先で飼い主にでも会ったのか。
家を思い出したか。
はたまた、またフラっと誰かのうちで厄介になってるのか。

そんな事も忘れていた、冬の始まり。

警察署から電話がかかってきた。
以前に届出をしてもらった、犬の落し物。
期間を経て、正式に俺に権利が移ったので、書類を持ってきてほしいとの事。

本人はとっくに居ないのに、なんだか滑稽な話。
人だろうが犬だろうが、お別れの後にはいつもこんな出来事はやってくる。

今までにもそんな事はよくあった。
月並みだけど、そう思った。

どっかで元気にやってるといいんだけど。

話をまとめながら、コイツ、本当はどんな名前だったのだろう。
そんなことが気になった。

犬とは不思議な縁があったりする。
たびたび書いた、前に飼っていたコップという犬。

生まれてまもなく、もらって育てた。
とある日に、車に撥ねられてしまった。
よく覚えている、丁度人形を作っていたその日。
出来上がった!と思った、その後に表の道からの急ブレーキの音を聞いた。

随分経ったある年。
自分の誕生日だっていうのに、アトリエで一人仕事をしていた。
夕方になったあたり、庭にふらっとコップにそっくりな犬が遊びに来て、、、
随分似てる犬だな、、と思って少し遊んだ。

電話だったか、人が来たかでその場をちょっと離れたらいなくなってしまったんだけど。
もう少し遊びたかったんだけどな、、と残念に思ったのを覚えている。

展覧会の後片付けの時の事、スタッフの女の子にからかわれた。
”コーゴローさんって、誕生日とかにも一人で人形とか作ってるんですか?”って。

なんの事だ?って思ったら、コップが死んでしまった日に出来上がった人形に彫り込んでいた日付のことだった。
ショックで気づいていなかったのだけれども、日付は自分の誕生日だった。

そのときに、初めてあの日来たそっくりな犬はコップだったのかな、、と思った。
偶然とかじゃなく。

不思議な話なんだけれども、そんな素敵なこともあった。

だから、なんとなくそのうちまた会える気がしてる。

気が向いたらまたこいや。
そんな感じ。

終わり。

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