鉄と仕事
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「鉄と仕事」では、鍛造、鍛鉄、鉄にまつわる話などを交え、私どもの仕事をすこしずつ紹介していきます。


前回までは古典的な技法と題して鉄の特徴的な部分をご紹介しました。
それらは見栄えのいい、いかにも鉄らしい,ある種華やかな部分でもあります。
でも、じつはこれ、やり方と道具さえあれば始めての人でも時間さえかければそれなりの形になってしまうんです。
逆に言うと、見所があるので案外あらが目立たない。

今回は実はこんなところが難しい!
そんな事をご紹介します。


上の写真、左の鉄棒は材料として購入したままの状態です。
購入時は錆などはありませんがただまっすぐな角棒です。


鉄の(鍛造の)魅力というものひとつに”槌目”があります。
いわゆるハンマーで叩いた跡(ハンマートーンとも言います)がシンプルなデザインでも重厚さや可憐さを自然に演出してくれます。

それと並び鉄として特徴的なのが”焼き肌”です。
上の写真のポイントのあたりに良く出ていますがこの荒れた質感がもっとも工業製品と違う部分でしょう。

これらは文字通り、製作の過程で焼いて叩く、という工程を経なければ存在しません。




いつもの通り、なにはともあれ火にくべます。
これで、焼かれた鉄の表面が鉄から酸化膜へと変化します。
いわゆる”赤錆”も同じ酸化鉄なのですがこちらは青黒くとても厚く硬いものになります。
時には意図的に溶かしぎみにしてみたりと、ある程度表現に幅があります。





焼き上がりです。
これで焼き肌もばっちりついています。
しかし、、、、、

ここで本題の難しい!ところが。
鉄は金属です、火にくべれば柔らかくなります。
はじめは真っ直ぐだった棒も火から出すと、、、曲がるんです。

原因は自重で歪んだり、熱のかかり方も均等ではありませんからより温度の高い部分は伸び、、等々。
ちょっと分かりずらい写真ではありますが、このくらい曲がっていればそのままでは使えません。


二周りほど細い棒の写真です。
通常は冷える前に大体の形を整えるのですが、写真に納める為そのまま冷やしてみました。
実際に火の中ではこんな風に動いています。

というわけで、全部直します。



真っ直ぐかどうか見て、、、、、


曲がっていたら叩く!

真っ直ぐになるまで繰り返しです、ず〜っと。

こればっかりは今までの解説のようなコツや便利な道具はありません。
言葉で説明するならば、、

”でっぱってるところを叩けば真っ直ぐになる!”

これだけなんです。
角棒ですから4つの面、すべて真っ直ぐに見えるまで叩きます。
慣れてくるとぱっと見ただけで曲がっているか分かります。
なんというか不思議な感じで、私の場合は”なんか気持ち悪い”感覚を感じます。
時には、自分ではどこが曲がっているか見えていないときでも感じることがあり、じっくり見るとたしかに曲がってたりと、人間って凄い!と思う瞬間があったりします。



本日の成果です。

この単純、単調な作業こそが無くてはならない大事な仕事です。
私共の製作物はほぼ例外なく、すべての材料にこの過程を施します。

この仕事は理屈ではなく、年季というか経験がすべてです。
逆に言えば、これが出来なければ本来の意味で”なにも出来ない”のです。

ですから、新しくアトリエに入る人にとっては、最初にして最大のハードルなのです。
熟練した者はいとも簡単に真っ直ぐにしていきますが、初めのうちは曲がっているかもよく分からない。
叩けば叩くほど、曲がってしまったり、、、、

先に書きましたが、この4つの面がすべて真っ直ぐというのは案外、難しいのです。
そして、、材料は”角”だけではありません。
丸い材料になれば、4つの面と分けて見ることさえ出来なくなります。
それこそ曲がる方向は無限大、、、

でも、ずーとがんばると、案外簡単に出来るようになります。
デザインや発想、物を作るという過程には色々な要素がありますが、
その前にがんばった分だけ確実にうまくなれる、こんなご褒美のような事が”作り上げる”という事の自信になっている気がします。

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